OEM生産とODM生産の違いを解説。それぞれのメリット・デメリットとは?
Date: 2021.03.08
Date: 2021.03.08
食品や化粧品などの製品を開発・企画・製造する際に、「OEM生産」と「ODM生産」という手段があります。いずれも生産コスト削減のために有効な方法ではありますが、その2つの違いをご存知でしょうか。その違いとともに、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
OEM生産とは、Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)の略で、発注元のブランドの製品を生産すること、または生産するメーカーのことを指します。食品以外では、化粧品や自動車、アパレルなどでよく見られる生産方法です。
つまり発注元は、自社で企画・開発した自社ブランドの製品を、製造だけOEMメーカーに依頼します。
例えば、Apple社のiPhoneなどは、典型的なOEM生産です。自社で開発したAppleというブランドの製品を、OEM製造メーカーに委託して製造しているのです。
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一方で、ODM生産は、「Original Design Manufacturing」の略で、「Design」が示すように、発注元のブランドの製品を生産するだけでなく、企画・開発・設計から行い、生産すること、またはそのメーカーを指します。
つまり発注元は、製品の企画も開発も製造も行わず、すべてODMメーカーにまかせ、販売するときだけ自社のブランド名をつけて販売するということになります。
例えば、日本の携帯キャリア各社がAndroidのスマートフォンの製造を大手メーカーに依頼し、最終的に携帯キャリアのブランド名を掲げて販売しているのは、ODM生産です。
OEM生産とODM生産は、どちらも生産コスト削減のために有意義な方法ではありますが、大きな違いがあります。
その違いとは、「企画・開発・設計」についても生産と共に委託するか、しないかです。
つまり、発注元にとって「自社で企画・開発・設計した製品を他社に製造してもらって売りたい」という場合はOEM生産になります。一方で、「企画・開発・設計から製造まで委託したい」という場合はODM生産となります。
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ではOEM生産の特徴をさらに理解する意味で、メリットとデメリットを見ていきましょう。
委託企業におけるメリットは、コストを抑えられる点です。工場や製造設備を自社で持ったり、それらを整備したりすることなく生産できるため、設備投資や人件費などのコストが削減できます。そういった製造にかかる費用を抑えられた分、営業活動やマーケティング活動に投下することができれば、委託者側は販売力を上げることができます。もし発注元企業が、製品企画や販売を得意とする企業・ブランドであれば、非常にメリットは大きいでしょう。
また、受託企業においても、安定して受託できれば一定の収入を確保できます。委託企業側のブランド力を借りることで、その売上をさらに伸ばすことができるでしょう。さらには、生産のノウハウを蓄積し、技術水準や生産効率を向上させることで、技術やコスト面での競争力を高められるといった点もあります。
委託企業は製造を自社で行わないため、製造技術や製造に関するノウハウが蓄積されないという点があります。また委託していたOEMメーカーがOEM製造をやめるなど、何らかの理由で委託できなくなる可能性もあります。そのような際には、同じ商品を作るのに、他のOEMメーカーに委託する必要がありますが、同一品質を保つのが困難になるケースもあります。
受託企業にとっては、ブランド力が育ちにくいことが挙げられます。委託企業のブランド力で販売することになるため、自社ブランドが認知されにくく、委託企業側との契約内容によっては実績として広報活動に有効活用できないケースなども存在します。
続いて、ODM生産のメリットとデメリットを見ていきましょう。
発注元が、企画・開発・設計だけでなく、製造にかけるコストまでも抑えられ、自社ブランドの構築と販売に専念できる点があります。設備投資や製造コストの削減だけではなく、製品開発も依頼ができるため、ノウハウや技術力がなくても、新規事業に参入できるメリットもあります。
受託側は、ブランド構築をせずとも、委託側ですでに用意されている販売網やブランドなどを駆使して自社製品を販売できるため、利益の確保がしやすいというメリットがあります。また、企画・開発・設計・製造まで幅広い業務を行うため、主導権を握れる点も増えてくる点も挙げられます。
メリットがある一方で、委託企業にとっては、企画から製造までのノウハウが自社に蓄積されない点や、販売価格が上がってしまう場合がある点などがあります。また、生産自体に一切、手を出していないため、品質管理はどうしてもODMメーカーに頼りきりになってしまいます。設計においても、なかなか自社ブランド商品のオリジナルの持ち味を出しづらく、他社競合と似通った製品ができてしまい差別化・ブランド構築につながらない可能性もあります。
受託側にとっては、受託の範囲にしたがって責任範囲が大きくなり、製品になんらかの不備や問題が生じた際は、責任を問われる可能性が高くなります。また、主導権を握れる場面が増える反面、受託企業側も市場動向や仕様、ロット数などを適切に管理する必要があり、適切な対応ができない場合は契約終了といったリスクもあります。
これまでOEM生産とODM生産のメリット・デメリットからそれぞれの違いはある程度理解していただけたかと思います。そのうえで、OEM生産とODM生産を検討する際は、自社の状況に合わせて以下のようなポイントで選んでみましょう。
単純にコストだけを考慮した場合、企画・開発・設計・製造まで委託できるODM生産という判断になるでしょう。それらにかかる人件費や設備投資などを削減して、自社ブランドの構築や販売に専念しやすくなります。しかし、クオリティという観点ではOEM生産も検討する必要が出てきます。受託企業のノウハウや技術に左右されるため、理想とする品質を実現できる受託企業を探す必要があり、自社の企画・開発・設計に自信がある場合はOEM生産が推奨されます。もしノウハウや技術力がない新規事業参入といったケースではODM生産が利用しやすいかもしれません。
どれくらいの在庫を抱えるかを検討するうえで、受託企業が対応できるロットを確認するようにしましょう。最低ロットはもちろん、大ロットも確認し、納品までのスケジュールやコストまでも含めて検討する必要があります。このような細かい部分を含めた対応ロットは受託企業によって異なるため、ホームページだけでなく問い合わせなども検討しましょう。
長期的な関係になると、ノウハウや技術が受託企業にも蓄積される点に注意する必要があります。その前提があるうえで、信頼関係を構築できるかどうか、受注企業の強みを活かしてよりより製品づくりができるか、といった観点もOEM生産・ODM生産、ならびに受託企業を選定するポイントとなります。
OEM生産とODM生産の特徴とメリット・デメリットを踏まえて、違いを解説してきました。いずれも商品の開発・製造においてコストを抑えられる方法ではありますが、それぞれのメリットとデメリットを理解し、最も自社にマッチして利益の上げられる方法を選択しましょう。
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